高度情報処理技術者を専門外&業務未経験者が目指した結果

2019年勉強開始、独学です。過去の家づくりや家電記事もおまけに残してあります。

ショールーム巡り「TOTO編」

「トイレといえばTOTO」という程のブランド力を誇る衛生陶器メーカーですが、実はお風呂やキッチン、洗面台等の住宅設備も作っています。浴槽は60年、洗面台は50年、キッチンは35年前から開発・販売しています。

 

目次

 

TOTO=トイレ

 TOTOといえばやはりトイレのイメージが強く、約100年前に日本に洋式便器を持ち込んだのはTOTOです。INAX(現LIXIL)と競い合いながら日本に洋式便器を普及させてきた自負もあり、陶器の品質は折り紙つきです。「温水洗浄便座」というより「ウォシュレット」のほうが耳に馴染む方も多いかと思いますが、このウォシュレットという名前はTOTOの商品名です(LIXILは「シャワートイレ」)。

 

No.1企業だけあって、汚れを落とすトルネード洗浄オートパワー脱臭、除菌水による自動洗浄、ナノレベル平滑面を実現した独自素材による便器の汚れにくさ掃除のしやすさ節水性など、全てにおいて優秀です。TOTOのトイレが総合力No.1であることは間違いないでしょう。しかし、完全一択というわけではありません。

 

当然、ライバルメーカーも競争相手としてTOTOを想定した開発を行っています。つまり、LIXIL世界最小サイズ洗浄ノズルの清潔性パナソニックの様々な尿ハネ防止機能や軽量で撥水性がある有機ガラス系新素材ジャニス工業完全フチなしフロントスリム等の際立った特徴は、TOTOに勝つ為に開発した武器とも言えます。

 

「おしりとビデの洗浄ノズルが同じというのは精神衛生上いやだ」→ LIXIL

「男性の小便の尿ハネで、トイレ本体より周りの掃除が大変」→ パナソニック

「便器のフチの部分がどうしても汚れてきて、トイレ掃除の度に気になる」→ジャニス

 

このように、特定の箇所に強い不満を持っている方にとってはTOTO以外のメーカーのほうが魅力的に映るでしょう。また価格的にも、TOTOは若干高いと言われています(見積もりをとった訳ではないので、確証はありません)。

特にトイレに不満もこだわりもなく、価格的にも予算の範囲内であればTOTOで間違いないですが、上述のようなことに思い当たる節があるのであれば、一旦立ち止まってどのメーカーにするか良く考えることも大切です。結果としてTOTOを選ぶにしろ、事前にメーカーを比較検討したほうが後々の満足度は高くなるはずです。

 

キッチンやお風呂もトイレと同じ「水まわり」

 続いてキッチンですが、TOTOの特徴は水まわりにあります。

「すべり台シンク」とは、その名の通りシンクに傾斜をつけて、コーナーにある排水口までの流路を作ることで水の流れを良くし、清潔に保とうというものです。

「タッチスイッチ水ほうき水栓」は、特徴的な幅広シャワーで、形状もシンクが深く使えるように工夫されています。

そして「きれい除菌水」は、水道水を電気分解して作る次亜塩素酸を含む水で除菌効果があり、TOTOトイレにも採用されています。

このように、水周りはトイレで培った技術を駆使してオリジナリティを高めています。

 

このきれい除菌水の効果について、誰もが気になると思います。文献をあたったところ、TOTO社員の資料を見つけました。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfm/24/3/24_3_115/_pdf

これを読んだ感じでは、おそらくきれい除菌水は「微酸性電解水」でしょう。

酸性だからといって手が荒れることもなく、手洗いにおいて薬用石鹸と同等以上の効果があり、特にノロウィルスには有効だと言っています。但し、酸性電解水はタンパク質や油分などの有機物の存在下では効果を失うため、きれい除菌水を使えば洗剤や石鹸要らずということではありません。洗剤を使ってしっかり洗った後の「仕上げ」という感覚です。短期的に見れば手間は増えます。

微酸性電解水については効果がきちんと証明されており、食品業界では食品添加物として大量に使われています。「家庭のキッチンでここまでする必要があるか」という点で意見が分かれそうですが、とても良い商品のように感じました。

 

カウンタートップの素材については、人工大理石(ポリエステル系)、ステンレスが基本となりますが、独自加工のクリスタル(エポキシ樹脂製)とデュポン製人工大理石(アクリル系)も用意されています。

人工大理石の材質について少し触れると、

エポキシ樹脂・アクリル系・ポリエステル系では、見た目だけでなく耐衝撃性、耐熱性、耐候性等に差があります。メーカーによる差が大きく一概には言えませんが、基本的にエポキシ樹脂が一番高級で見た目も性能も良く、ポリエステル系が一番安くて見た目も性能も悪いと考えてください。

価格的には、クリスタル(エポキシ樹脂)にすると20万円前後、アクリル系人工大理石にしても10万円前後上がりそうです。標準品がポリエステル系で心許ないのでグレードアップしたいですが、出費が大きいので悩みどころですね。、シンクの素材も基本的には同じですが、アクリル系人工大理石はなくクリスタルかポリエステル系の2択です。

 

レンジフードは「ゼロフィルターフードeco」という、凹凸が少なくファンの着脱が簡単なタイプです。「構造をシンプルにしてお手入れを簡単に」というタカラスタンダードと似た考え方ですね。「構造は複雑だけど10年間ファンのお手入れ不要」というクリナップやパナソニックの発想とは反対です。

 

 

洗面台についても基本的にはキッチンシンクと同様で、すべり台ボウルらくポイヘアキャッチャーきれい除菌水といった清潔をキープするための設備が搭載されています。ボウル素材は「陶器(セフィオンテクト)」が追加され、「ポリエステル系」「エポキシ樹脂」との3択になります。

 

お風呂も掃除のラクさを全面的に押し出したラインナップで、特に有名なのはcmでお馴染みの「お掃除ラクラクほっカラリ床」でしょうか。節水目的の「エアインシャワー」も用意されています。

 

 

総評

 正直、ショールームに行くまではTOTOにあまり期待していませんでした。しかし、実際に物を見てみると考えを改めさせられ、非常に素晴らしいメーカーだとわかりました。

元は衛生陶器メーカーだっただけあって、他社とは違った特長を持っています。キッチンもお風呂も洗面台も、トイレと同じ水まわり製品です。100年に亘ってトイレという最も汚れや匂いが気になる、出来れば掃除したくない商品と向き合ってきただけあって、キッチンも洗面台もお風呂も、汚れにくさや手入れのラクさに非常に重きを置いていて、「清潔」という面では一歩抜きん出ている印象を受けました。

その一方で、「すべり台」や「水ほうき」など商品形状が特徴的なので、感性(デザイン)が合わない人にとってはすぐに候補から外れると思います。また水まわり以外にはさして興味がないのか、カウンタートップは高額なデュポン製またはクリスタルか、安価で性能に劣るポリエステル系かという極端さが少し不満ですね。

 

オリジナリティがあって非常に良いメーカーでした!我が家の場合、キッチンをメインで使う妻のイメージとTOTOの特徴的な外観形状が合わないということで候補から外しましたが、私が求めているお手入れの楽さという点においてはTOTOが一番優れていると思いました。

 

さて、これでショールーム巡りは一旦休憩です。

 

クリナップ、LIXIL、タカラスタンダード、パナソニック、トクラス、TOTOと、有名どころを6社回りました。浜松に各社のショールームがあってラッキーでした。気になったメーカーでの見積もりは、ハウスメーカーが決まってから行います

何故なら、ハウスメーカー割引がないと実際の価格が全くわからないからです。最初は全てのメーカーでショールーム巡り中に見積もりをとっていこうと思っていたのですが、一社目で

「個人の顧客には定価での見積もりしか出せず、実際の価格とはズレがあって参考にならないですよ」

と言われました。どうやら提携ハウスメーカーによって標準仕様(割引額が大きくお得感がある仕様)があったり、オプションもついていたりいなかったりと、価格設定のシステムが複雑なようです。一概に「大手ハウスメーカーなら全ての商品の割引額が大きい」とは言えず、むしろ「そのハウスメーカーが標準として安く仕入れられる仕様を無視してオプションや変更を繰り返すと、提携メーカーとしての恩恵がほとんど得られない」という事態に陥ります。

 

皆さんもご注意ください。