高度情報処理技術者を専門外&業務未経験者が目指した結果

2019年勉強開始、独学です。過去の家づくりや家電記事もおまけに残してあります。

ショールーム巡り「クリナップ編」

ハウスメーカー選びと同じくらい重要な住宅設備メーカーのショールーム巡りをしました。

第一回はクリナップです。クリナップは日本で初めてシステムキッチンを発売し、昭和35年からステンレス流し台を製造している歴史の長い企業です。

 

目次

 

クリナップと言えばステンレス

クリナップの売りはやはり長年培ってきた『ステンレス』の技術です。ステンレスのシステムバスルームを製造していたこともあります。

クリナップはステンレスキッチンにおいて一日の長があります。コイニングと呼ばれる硬貨(コイン)の製造に用いる圧印加工により、ドット柄の凹凸をキッチントップのステンレスに再現することで傷を目立ちにくくしたり、美コートという親水性の特殊コーティングを施すことで、油分を含んだ汚れを浮かしてお手入れを簡単にしたりと、ステンレスの持つ「キズが目立つ」「経年により光沢がなくなる」「錆びる」といった弱点に対処しています。

 

主力商品は発売から33年目になるシステムキッチン「クリンレディ」で、オールステンレスを売りにしています。私の中では「ステンレスキッチン=意外とすぐ錆びる」という印象だったのですが、最近は鉄の含有率を下げることで錆びにくくなってきているそうです。

ショールームの店員さんによると、人工大理石は熱に弱いですが、ステンレスは熱したフライパンを直接置くことが出来ます。また人工大理石はソースやケチャップ等が付いたまま放置すると色素が移ってしまいますが、ステンレスにはそれがないので手間が少ない点が大きなメリットだそうです。

 

ここで、熱したフライパンを直接置けることや色素沈着がしにくいことが果たしてメリットと呼べるのか?という疑問が湧きました。

 

一般家庭のキッチンで敷き物を用意出来ないほど切羽詰った状況で調理することがあるでしょうか?

プロの料理人で時間と戦いながら調理しているわけではありませんし、キッチントップが熱に強いというのは決め手になる程の大きなメリットとは感じないのは、私がほとんど料理できないからでしょうか。

 

色素沈着がしにくいという点ですが、こちらは人工大理石では問題になっていますから大きなメリットと言えます。キッチントップの上にソースがこぼれていたのを見落として、何日かそのままになってしまっていたときはステンレストップにして良かったと思うことでしょう。

しかし、これは「ソース汚れの見落としがあってもダメージが少ない」のであって、「すぐ拭き取らなくても大丈夫だから掃除の頻度が減る」と解釈してはいけないと思います。キッチンはどんな仕様であれ、こまめな清掃が必要不可欠です。

 

キッチンのこまめな清掃が重要なのは、排水溝や三角コーナーの「ヌメヌメ」=バイオフィルムを除去するためです。

これが悪臭を放ち、排水溝を詰まらせています。バイオフィルムは虫歯や歯周病の原因になる「プラーク」としても有名ですね。プラークもバイオフィルムの一種です。お風呂のピンク汚れもバイオフィルムですし、トイレの黒ずみも元を辿ればバイオフィルム上に付着したカビです。

口の中を考えてもらえば想像できますが、バイオフィルムは1日2日のうちに復活します。これを除去するには持続的な手入れが必要不可欠です。水周りの掃除は歯磨きと同じ頻度で行わなければ、いつまでも綺麗な状態をキープ出来ません

このバイオフィルムというのは非常に厄介で、一度何層にも堆積してしまうと除去が非常に困難になります。「バイオフィルム 除去 原理」等と検索してみると、膨大な量の論文が出てきます。少し目を通してみると、バイオフィルムは

・熱に強い=熱湯をかけても除去できない

・殺菌剤に対する高抵抗性=漂白剤や界面活性剤で除去できるのは表面だけ

・水があればあらゆる場所に生成=物理的に全てを剥がし取ることは困難

という性質を持ちます。

キッチンやお風呂、トイレは口の中(人体)と違って多少強めの洗剤を使用できるので、初期からこまめに掃除すればバイオフィルムの形成をかなり抑制できると思います。

排水溝、水周りの掃除については家が建った後に掘り下げていきましょう。とにかく、キッチンを綺麗にキープ出来るかどうかにステンレスか人工大理石かはあまり関係が無いように思います。

 

ということで、ステンレスか人工大理石、どちらにするかの判断基準は「見た目」で良いと思います。それぞれの利点欠点はおまけ程度に考えて良いのではないでしょうか。キッチンは消耗品ですから、耐用年数が20年程度と考えると、素材の違いよりも日々の手入れの差のほうが結果として現れてくるでしょう。

この見た目という点において、他メーカーは最近人工大理石押しですからクリナップキッチンのオリジナリティは非常に高く評価できます。お店の厨房のようなオールステンレスのかっこいいキッチンにしたいならば、クリナップが一番でしょう。

一方、人工大理石のキッチンは最近の流行である「キッチンとダイニングの空間を分けない」間取りに対して非常に有効です。様々な色から選べるので、ダイニングのイメージに沿ったキッチンを作ることが出来ます。

 

クリナップ製品の手入れのしやすさ

さて、レンジフードについてもお話したいことがあります。レンジフードはキッチンにおいて排水溝の次に掃除が大変な部分ですね。

クリナップでは「洗エールレンジフード」という、掃除の手間を非常に少なくした商品を押しています。月1回、タンクにお湯を入れてフィルターを自動洗浄すれば、10年間フィルターの掃除不要ということです。

そして10年経ったらフィルターを交換してしまおうという発想です。実際に見ましたが、お手入れはとても楽そうでした。

 

しかしこれは製造元がパナソニック(OEM商品)なので、パナソニックキッチンにも似たような「ほっとくリーンフード」というものがありますし、レンジフードシェアNo.1の富士工業にも「オイルスマッシャーフード」というものがあります。他にもトクラス、タカラ、TOTO等各メーカーでレンジフードを開発しており、どれも方向性は違えど手入れの簡単さを売りにしています。

 

色々なものを調べれば調べるほど感じるのですが、日本の家電・住宅設備メーカーには「高級路線!」とか「低価格路線!」と尖ったメーカーは無いに等しく、全てのメーカーで低価格帯から高価格帯まで幅広くラインナップを揃えていますよね。

結果としてどこでも同じくらいの金額を出せば同じような製品が手に入るので、どこでも良いという結論に至ってしまいます。

このクリナップのレンジフードがネット上では一番人気が高いですが、構造が結構複雑なので「故障に弱そうだな」という不安はありますし、このようなハウスクリーニング業者の方の記事も見つけました。

洗エールレンジフードと浴室とトイレ | ハウスクリーニング日記

これはハウスクリーニング業者であって、私たちはここまで徹底的に掃除することは稀なのであまり参考にならないかも知れませんが、こういった意見もあるということを頭の隅に置いておこうと思います。

 

クリナップのお風呂と洗面台についてですが、これといって強い個性は見当たらないものの使い易そうでした。

お風呂の排水溝についているヘアキャッチャーがステンレス製という点にはちょっとしたこだわりを感じました。デザインについてですが、キッチンの本格派でスマートな印象とは打って変わってお風呂や洗面台はラメ入りのキラキラしたトップパネルが多く、カワイイということで嫁に大変好評でした。このあたりはホームページやショールームでご確認頂ければと思います。

クリナップ|システムキッチン、システムバスルーム、洗面化粧台を製造販売する総合住宅機器メーカーです。

 

初回ということでクリナップについては以上となります。ステンレスに心惹かれている方にはもってこいのメーカーでした。次回から、このクリナップと要所要所で比較しながら考察していきたいと思います。