高度情報処理技術者を専門外&業務未経験者が目指した結果

2019年勉強開始、独学です。過去の家づくりや家電記事もおまけに残してあります。

A017【2016/07/18 地元工務店①の見学会に行ってみた】

 初めての地元工務店の見学会です。今回は完成見学会や現場見学会ではなく、この地元工務店のコンセプトを伝えるための事務所兼ミニモデルハウスの見学会に行ってきました。

 

目次

 

 在来浴室や真壁造りといった昔ながらの技術と最新の技術の融合

このモデルハウスは本当にミニで、玄関と居間、お風呂、ロフトしかありません。社長さんが私たちに対応してくれました。

 

この工務店は在来浴室を大きな売りにしています。

 

在来浴室は一般的なユニットバスとは異なり、内層が本当に自由なので旅館のような壁が檜で大きな窓から庭が眺めるお風呂も作れます。

 

自宅に旅館のお風呂を持ってこれるので、在来浴室に憧れている方が全国各地に存在し、毎年何件か全国の工務店から技術を教えてくれという電話が来るそうです。

しかし在来浴室には中々専門的な技術と知識がいるようで、一朝一夕ではとても教えられないので断るしかないと言っていました。

 

そして最近の技術と融合した在来浴室は、ユニットバスよりカビにくく、メンテナンスも楽で、安価にすることも可能だと言います。

 

内装は極力無垢材を使用し、真壁作りを採用する等、昔の日本家屋(の豪邸)を思わせる造りです。

この工務店の社長さんの考えとして

「年月を経ても価値が下がらない木造家屋とは何か、その答えを知るには今残されている50年、100年前の建物を見れば良い。

評価され続けている建物は、キズや汚れすら味に変わる天然素材を用いたものばかりだ」

と言います。

 

 

木造住宅を手掛けて30年のベテランの意見

木造住宅についてなら何でも教えてくれるとおっしゃるので、1時間以上滞在して話を聞かせて頂きました。

その内容を箇条書きにします。

  • 構造用に使われている木材の値段は高が知れている。この柱(10尺, 3.5寸?)一本で1万円しない。1000万円の家を建てるとき、構造用木材の価格は1~2割未満といったところ。それより住宅設備である風呂、キッチンの割合のほうが高い。床を全て無垢材にしたらそこそこ高くはなるが、結局は住宅設備のグレードを上げるのと大差ない。住宅設備はグレードを上げても耐用年数は変わらず20年程度だが、床を無垢材にすれば一生使える。家の価値を下げないという意味では、床材にお金をかけたほうが良い

 

  • 木造住宅の最大の敵は湿気だが、現在は技術の進歩により対処できる。基礎との間にパッキンを入れて通気性を高め、床下も室内も空気の通り道を考えてあげれば木が腐ることはない。真壁作りにすれば構造用の柱が表に出ているので、尚更防腐効果が高い。

 

  • シロアリは湿気を好むので、床下の通気性を確保して、地面との接触部分をステンレス製のねずみ返し構造にすれば食われる心配はない。防蟻処理すら必要ない。防蟻処理というのは、毒物の散布に他ならない。大人には問題なくても、幼児にとっても安全とは限らない。

 

  • 庭につけたウッドデッキは、雨風に晒されるのでどうしても10年くらいで色落ちし、部分的に腐ってくる。これは避けられない。ただしウッドデッキの下も基礎同様にコンクリートを張ってねずみ返し構造の足にしているので、シロアリの心配はない。

 

  • このモデルハウスの壁の一部分に今注目されている「珪藻土」という調湿性の壁にしているが、これはあくまで厚み数cmしかない。珪藻土は確かに調湿性をもつが、厚みが数cmしかないのでその効果は限られる。どこで建てるにしても、珪藻土を採用するなら厚みを聞いたほうが良いし、これを念頭に置いておく必要がある。

 

  • 夏場に一日中クーラーのかかった部屋にいては身体がおかしくなる。夏は夏の涼、冬は冬の暖をとるべきだと思っている。通気を考えて間取りを考えれば、夏場でも涼しい風が吹く。ただし最近は異常気象で耐えられない猛暑となるときもあるので、近くにクーラーの付いた非難場所を用意したほうが良い。

 

  • 最近は引きこもり問題が深刻化しているが、これは家の構造にも一因があると思う。最近の欧米の流れを汲んだ家は個室が充実しすぎている。子ども部屋をドアで仕切り、室内にエアコンやテレビ、パソコンという快適な空間を用意してしまったことにより、生活がそこで完結してしまう。個室がここまで区切られてかつ充実してしまうと、引きこもってしまう子も出てくるだろう。自室にいても家族の存在を感じられるよう、出来るだけ部屋を区切らないほうが良い。これは親が常に子どもを見ていろということではなくて、空間的な繋がりがあるということ。仕切りたい場合もドアより引き戸のほうが良い。引き戸というのは開けた状態を常とし、洋風のドアは閉めた状態を常としているので、仕切った際の感覚がやはり異なる。

 

  • 基本的に施主のどんな要望にも応えられるので、このモデルハウスは純和風だが、完全洋風な家を造ったこともある。ホームページを見てもらえば載っている。色々言ったが、こちらからコンセプトを押し付けるようなことはない。最終的には自分がどんな家を建てたいかということをしっかり考えて欲しい。

 

 以上のように、たくさんの家づくりのヒントや木造家屋の知識を得ることができました。

 対応してくれた社長さんはとても気さくで正直な方で、信頼できる職人さんという印象を強く受けました。

私も妻も社長さんのお人柄をとても気に入りましたし、価格的にもかなり抑えることが出来そうです。

 

社長さんと考え方の方向性が合っているか

「この工務店も良い」と強く感じましたが、とりあえず今回は保留とします。

まだ地元工務店の話を聞いて1軒目ですし、ハウスメーカーも選択肢にありますので、現状では結論が出せません。

 

また、妻のコンセプトと社長さんのコンセプトのずれが結構大きいのも気になります(結局は施主の要望次第ということですが・・・)。

 

 妻はめちゃめちゃ暑がりで、仙台に行けば「ここに住みたい」と言い、北海道に行けば「ここも住みたい」と言い、イギリスに行けば「永住したい」と言う程、暑さを嫌う傾向があります。

 

リビングダイニングの他にクーラーのついた避難場所を用意したとして、多分その場所から動かなくなると思います。

 

子ども部屋についても、妻は

「引き戸は導入したくない。完全個室で広さも充実させたい」

と言います。

このあたりは育った環境次第でしょうね。

子ども部屋は絶対個室という人もいますし、個室でなくても構わないという人もいます。

 

そういった点がコンセプトのずれが気になります。社長さんは妻の要望通りの家を造ってくれるでしょうが、こちらも気持ち的にしこりが残ってしまいそうで・・・。

 

他の工務店も回って見て、これ以上の工務店はないと思ったら戻ってこようと思います。

 

さて、次回は高気密高断熱をどこまで重視するか、今一度考えてみましょう。