HEMSって何?正直いらないんだけど…
HEMSとは「Home Energy Management System」の略で、直訳すれば「家庭のエネルギーを管理するシステム」ということです。
目次
HEMSとは
HEMSのMは
「管理(Management)」=「監視(Monitoring)」+「制御(Control)」
ですから、太陽光での発電量と消費電力量を数値的に表示(見える化)してくれるだけでなく、エアコンや照明のON/OFFを制御して節電してくれるということです。
詳しいことは「HEMSとは」でGoogle検索してPanasonicのホームページに行けば載っていますから、これを読むことをお薦めします。
HEMSは不要?いいえ、補助金をもらうためには必須なのです
さて、このHEMS、正直いらないなぁと思っている方もいるのではないでしょうか。
「家に帰る少し前にお風呂を入れられる、エアコンを付けられることがそこまで必要なのか?」
という疑問を持つ人や、
「コンセント単位で電力を見える化して待機電力まで考えて節電できるようになったとしても、毎日の電気の無駄遣いが気になってしまうという精神的な負担のほうが大きいのでは?」
と感じる人もいると思います。
誰しもがHEMSの導入で見える化できて良かったと思うわけではありません。
体力的、精神的な負担に見合った報酬を受け取れないことを「割に合わない」と言いますよね。私にとっては株取引がその典型でした。
ある株を買って、二ヶ月後にプラス一万円くらいで売り、儲けることができました。結果だけを見れば得をしたのですが、私としては全く割に合わない報酬でした。
「一週間に一度、決まった時間にだけ株価を見る」というような割り切った取引が出来れば良かったのですが、どうしても日々の株価が気になってしまい、毎日上がった下がったと一喜一憂し、マイナスになったときは気が気でなくて、仕事中の僅かな休憩時間にも眺めていました。
このような精神的な負担に対して、受け取った報酬を多いと感じることはとても出来ませんでした。
これと同じように、HEMSによって日々の消費電力状況が見えてしまうということは、「電気の無駄遣いによって自分は損をしているかも知れない」
という不安を想起させます。
今までは漠然と「今月はエアコンを良くつけたからちょっと高かったなぁ」「冬は電気代が嵩むなぁ」くらいにしか思っておらず、具体的にどこをどうすれば電気代を抑えられるかわからなかったのが、
「ブルーレイレコーダーやパソコンモニターの待機電力を抑えればもっと節電できるから毎日コンセントを抜こう」
「深夜電力で洗濯機を回さないとかなり損するから、夜11時までは絶対洗濯しないで起きていよう」
といったように、具体的に何をすれば良いのかわかり、その成果をHEMSのモニターで毎日確認できるのです。
これは金銭的には得なのでしょうが、割に合っているでしょうか?
負担に感じる方も一定数いるような気がします。
ここまでHEMSに対してマイナス方向の話ばかりでしたが、「では導入しないのか?」と聞かれれば、「導入する」の一択です。理由は簡単、「現在国として積極的に推進しているから」です。
「国として推進している」=「導入しないと将来的に何らかの不利益を被る」と考えています。
HEMSの目指す未来というのは、本当に素晴らしいものです。
太陽光発電、蓄電池、電気自動車、HEMS対応家電を揃えた状況を作り上げれば見ることができます。
HEMSの自動制御機能を万遍なく使用し、
・電気代が高い時間帯は太陽光発電と蓄電池で自家消費し、
・安い時間帯に洗濯機を回しながら電気自動車に充電し、
・節電もHEMSが勝手に家電を最適化してくれるので、
・自分では何もしなくて良い
という夢のような環境です。
現時点では初期投資が相当必要なので私には実現不可能ですが、近い将来にこのようなスマートハウスが当たり前になっていることでしょう。
まぁそんな綺麗事より、現実的にHEMSを導入する以外の選択肢がない理由を述べます笑
ZEH(net Zero Energy House)という規格があります。
自家発電+省エネ製品の積極的活用によって年間の発電量と同量しか一次エネルギー(空調、換気、照明、給湯に使うエネルギー)を消費しない省エネ住宅を建てようというものです。
この規格に適合して申請を行えば、現在のところ125万円の補助金を得ることができます。
交付要件は取り仕切っている一般社団法人のホームページ(sii環境共創イニシアチブ)に記載されていますので、興味のある方はご一読ください。
この交付要件の④に、「要件を満たす計測装置を導入すること」とあり、これがHEMSに該当します。HEMSを導入しないと125万円もらえない訳です。
ZEHの公募要領を読んでみると、このHEMS以外にも、外壁、エアコン、給湯器、照明等の基準もあり、家電の性能にも規定があります。
125万円の補助金を受け取るには、全体的にハイグレードな家電、住宅設備を揃えなければならないようです。
公募要領は54ページありますが、1.事業概要と2.事業要件と加点要件の全9ページを読めば十分で、それ以降は事業者向けの説明資料です。興味のある方はどうぞ。
前回記事でも書いた通り、私は電気料金が上がり続けていくと予想しています。
消費電力を自家発電の範囲内に抑えようという試みは良いことだと思っていますし、今後も奨励されていくべきだと考えています。
現状の家電、住宅設備においてHEMSが必要かと言われればNOですが、補助金のこと、将来的なことを考えて、HEMSは導入する以外の選択肢はないと思います。