一家に一台、パソコンは必要か? ~大半の人にはデスクトップPCは不要~
今はスマホの時代です。iPadのようなタブレットPCもあります。
手のひらサイズのパソコンを一人一人が持っている時代に、デスクトップPCやノートPCを家庭に置いておく必要性はあるのでしょうか?
私は「パソコンは必ずしも必要ではない」と思っており、判断基準を考えてみました。
パソコンを購入するか迷っている方の参考になれば幸いです。
目次
家でパソコンを使って何がしたいか
パソコンと言っても色々な種類があります。それぞれの利点と欠点から、本当に必要なものは何か考えていきましょう。
レベル1:外出先でSNS・ネットショッピング・ネットサーフィン・簡単な家計簿をつける人
A. スマホが最適です
【利点】圧倒的な携帯性、省電力、無音
【欠点】画面が小さい、指が疲れる、周辺機器(印刷やスキャナ)が使用しにくい、基本的には一つのアプリしか表示できない
- ネットサーフィン(ニュースを見たり簡単な調べ物をしたり)をする
- SNSへの写真や短い文章の投稿をする
- ネットショッピングを利用する
- スマホアプリを用いた写真の簡単な加工をする
- 株価の確認やデイトレードではない株式の売買をする
- アプリで簡単な家計簿をつける
- 動画サイトで空き時間に暇つぶしをする
このような使い方が気軽にできて、常に持ち歩けて、他人から盗み見られる心配もあまりないスマホの右に出るものはいません。
アプリを利用するだけ、用意されたコンテンツを見るだけといったシンプルな利用方法にはスマホが最強です。
レベル2:家でもずっとネットサーフィンやSNSをする人
A. iPad等のタブレットPCの導入を検討してください
【利点】スマホに準ずる携帯性、画面がスマホより見やすい、省電力、無音、スマホに比べればスマホ近眼や指変形のリスクが少ない
【欠点】タッチパネルはタイピングミスしやすい、周辺機器が使用しにくい、基本的に一つのアプリしか表示できない
- スマホで出来るような作業を自宅でも2〜3時間以上行う
- スマホより見やすい大きな画面が良い
- 電子書籍を読みたい
- 大画面でスマホ専用アプリやゲームを使いたい
スマホと同じ使い方でも、自宅での使用時間が長い場合はタブレットPCの導入を検討してください。
健康のためです。
スマホは姿勢が悪くなる、近眼になる、指が変形するといった大きな健康上のリスクを抱えています。
タブレットPCに変えたからといって、不眠になる(夜寝付けない)というリスクが取り除けるわけではありませんが、近眼になる、姿勢が悪くなるといったリスクに対しては画面が大きい分だけ多少マシになります。
私はiPadを愛用していますが、スマホしか使った事がない人は是非検討してください。LINEは出来ませんが、その他については大半がめちゃくちゃやりやすくなります。
画面が大きくて多少重いので、スマホのように何時間も見続けるのは疲れます。
そのおかげで姿勢を変えたり、使用時間を減らしたりできるかもしれません。
レベル3:ブログを書く、簡単な動画を作成する、プリントやスキャナを利用する、株のオンライン取引をする人、レポートを書く大学生、仕事を持ち帰る社会人
A. このあたりからノートPCの導入を検討するようになります
【利点】携帯性、画面がタブレットPCより見やすい、複数アプリを同時にディスプレイに表示できる、キーボードが使える、マウスを選べる、周辺機器が使用できる、デスクトップPCに比べたら省電力、静音性
【欠点】性能に対して価格が高くなりやすい、仕事以外で常に持ち歩くには重いし邪魔になる、付属キーボードの使いやすさに操作性が依存する
- SNSへの長文の投稿を頻繁に行う
- タッチキーボードが使いにくいので普通のキーボードでタイピングしたい
- タッチパネルでの操作が疲れるのでマウスを使いたい
- ブログを作成する
- 簡単な数分の動画を作成する
- 自炊(電子書籍化)を行う
- 文書作成(Microsoft OfficeやKeynote)を行う
- 画像編集(写真の整理や年賀状の作成等)を行う
- 年賀状や免許証のコピーを印刷する
- 株のオンライン取引を真剣に行う
- 低負荷なPCゲームやオンラインゲームで遊ぶ
- PC上で詳細な家計簿をつける
- ダイニングやリビングテーブルでPCを使用し、普段はしまっておく
- パソコンがどうしても必要だが、デスクトップPCは置き場所に困る
- 外出先で作業したいときもある
わずかでも仕事での利用も考えるならばノートPCやデスクトップPCは必要になってきます。タブレットPCやスマホでWordやExcel、Powerpointを使うのはまだ無理があるからです。
つまり、レポートを書く大学生や仕事を持ち帰る社会人はノートPC一択です。
しかしそれ以外=趣味でパソコンを使う人は、日常的にノートPCを使う人はブロガーなどの一部の人であり、大半の人はノートPCを買っても年賀状作成や動画作成などの特別なイベントで使うだけ、という可能性があります。
動画をそこそこの大きさの画面で見たいのであれば、タブレットPCのほうがよっぽど使い勝手が良いからです。タブレットPCのほうが起動も一瞬で、圧倒的に軽く、価格に対して動作も速いです。
タブレットPCがあれば大半の目的には対応できるという人の場合、多くて月に1回、少ないと年に数回しかパソコンを起動しない可能性があります。
「そのために10万円払うのか」
が問題です。
タブレットPCならばもう2~3万円安くて、十分な性能の商品が購入できます。
「パソコンがないとプリントできない、スキャンできないじゃないか」
と思う方もいらっしゃるかも知れませんが、少量ならコンビニで印刷できます。年賀状のような多量印刷の場合は専用の業者を使ったほうがずっとラクです。
年に数回しか使わない、埃をかぶったプリンタは処分してしまうのも手です。
レベル4:スマホやタブレットPCではやりにくい作業を日常的に行い、かつ作業場所は決まっている人
A. 新しい選択肢である小型PCを検討する価値があります
【利点】本体のみならノートPCより省スペース、画面サイズを自由に選べる、テレビをパソコン画面の代わりにできる、複数アプリを同時表示可、キーボードを選べる、マウスを選べる、周辺機器を使用できる、静音性、省電力、ノートPCよりもコストパフォーマンスが良くなる傾向
【欠点】ディスプレイ・本体・キーボードが別なので持ち運び可能とはいえ使用場所を動かしにくい、デスクトップPCよりもコストパフォーマンスは悪くなる傾向、拡張性はあまり高くない(素人にはあまり関係ない)
- ノートPCと同等の作業を、大画面で行いたい
- ノートPCと同等の作業を、使いやすいキーボードで行いたい
- ノートPCと同等の作業を、画面から顔を遠ざけて行いたい
- 外出先では利用しない
- データへの外部アクセスや遠隔操作をする為に常時起動しておきたい
- パソコンを常駐の音楽プレーヤーとして利用したい
- PC専用のスペースで作業したい
小型PCの中には比較的高性能なもの(5〜10万円程度)と、低価格で最低限のスペックのもの(1〜3万円程度)のものがありますが、私は低価格の小型PCはオススメしません。
ガジェット好きの私は、小型PCを1.5万円クラスから8万円クラスまで3台購入したことがありますが、低価格の商品は本当に利用方法が限られます。
容量が32GBや64GB等の小さいものになるとOSのアップデートもままならず、メンテナンスに非常に苦労します。
どうせ小型PCを購入するならそこそこに高性能のものが良いと思います。
最大のメリットは、省スペース&省電力&低騒音という構成が唯一無二なので、付けっぱなしに最高に適していることです。
ノートPCと違ってバッテリーの劣化を心配する必要もありませんし、ディスプレイだけ電源を切っておくのも簡単です。
私は現代の家庭用パソコンとして最も優れた商品が高性能小型PCだと思います。
スマホやタブレットPCではできないことを日常的に行いたい場合、小型PCを検討してみてください。
レベル5:高負荷作業を行う or 真逆のコスパ重視で使用頻度は低いという人
【利点】他には真似できない高性能化が可能、コストパフォーマンスが良い、画面サイズ・キーボード・マウスを選べる、周辺機器を使用できる、複数アプリを同時表示可、壊れたものだけ交換可能(拡張性がある)
【欠点】スペースをとる、基本的に動かせない、消費電力が大きい、音がうるさい
- 最新のPCゲームやオンラインゲームで遊びたい
- 株のデイトレード等のパソコン性能が重要な作業をしたい
- 動画編集や3D作成などの高負荷作業を本格的に行いたい
- 自宅サーバーを立ち上げたい
- パソコンを置けるスペースがあり、普段は使わないが稀にプリントしたり仕事の資料を読んだりするので、家庭に一台は置いておきたい。何でも良いので、とにかく安いパソコンが欲しい。
最後に書いた「何でも良いので一家に一台はパソコンを置いておこう」という考えは私は推奨しません。 既に一世代前の考え方だと思います。
導入コストの安さに騙され、高いランニングコストを考慮しておかないと、利用方法次第では数年内に導入コストのメリットがなくなってしまう可能性があります。
色々なサイトでデスクトップパソコンとノートパソコンのランニングコストを比較しているので参考にして頂ければ良いですが、私の場合は遠隔操作と外部アクセスがしたくてデスクトップPCを一ヶ月に数日しか電源OFFしなかった時期は、月々2000~3000円かかっていたと記憶しています。
それに対して、一昔前のノートPCで同じ事をやっていたときは、月々1000円もかかっていなかったと思います(但しこのような過酷な使い方をノートPCでしてはいけません。すぐに壊れました。)
現実的なノートPCの使い方でも、電源OFFは一切せず使い終わったらフタを閉じてスリープモードにするだけですが、一日数時間の使用ならば月々100円もかからないはずです。
デスクトップPCは点けたり消したりに時間がかかるので、夜寝るまではつけっぱなしにし、使わない時間帯はディスプレイの電源だけOFFにするという使い方をしています。
ノートPCと同じ時間を使ったとき、消費電力が5倍以上大きいので、月々500円近くコスト増になると思います。一年間で5000円程度、数年で万単位のランニングコストの差が生じると考えます。
参考になるかわかりませんが、このような経験からデスクトップPCはランニングコスト高いと思っています。
まとめ
今となってはデスクトップPCは明確な利用目的をもった人が購入する特別な商品です。
デスクトップPCはどんどん一般家庭から遠ざかり、仕事用とヘビーユーザ用の二極化が起こっているのではないかと思います。
ほとんどの人にとっては、スマホ or タブレットPCで十分ですし、もしパソコンが欲しいとなってもノートPCか小型PCで事が足りる可能性が高いです。
一般人には拡張性や高性能というメリットを使いこなせません。
むしろスペースをとることや消費電力が大きいこと、音がうるさいことといったデメリットばかりが目立ってしまいます。
更に、オンラインゲームをしたり株のデイトレードをしたりといったヘビーユーザーは例外として、大半の人にとってPCを一番使いやすい場所はながら作業ができるリビングかダイニングです。
これらのテーブルは食事や団欒、来客の際は綺麗にしておかなければならないので、普段は片付けておけるノートPCがとても適しています。
もしノートPCの同時作業がしにくい、容量が一杯になって動作が重くなるというデメリットが嫌なら、周辺機器でカバーする
ノートPCとタブレットPCばかり使っている私ですが、ノートPCには不便を感じることが2つありました。
問題①は画面サイズが小さく、同時作業がしにくいことです。
ブログ作成は「文章作成+ネット検索」、動画作成は「動画編集+画像編集」、画像整理は「写真と写真の比較」と、タブレットPCではなくノートPCをわざわざ使いたい作業は2つ以上のウィンドウが開いているのが当たり前です。
画面の小ささが仇となり作業効率が良いとは言い難く、感覚的には2時間の作業で10分程、デスクトップPCよりも作業が遅くなっている気がします。
問題②は容量が少なく、すぐに一杯になって動作が重くなることです。
私のノートPCは128GBのSSDのみ搭載していますが、SSDは原理的に「空き容量が多いほど動作が速く、空き容量が少ないと動作が遅く」なります。
そのため極端に言ってしまえば、SSDには「OSとソフトウェアのインストールのみ」とし、動画や画像の保存は他のHDDにしたほうが良いです。
また、少しお金をかけてでもSSDの容量を増やすことも重要だと思います。
上述の理由から、気付かぬうちに写真データや動画が溜まっていき、気付いたら空き容量が数GBしかなくノートPCがカクカクになってしまうことがあります。容量不足に悩まされるノートPCユーザーは多いと思います。
但し、私はこれらの問題は既に解決済みです。
問題①に対してはDuet Displayの導入でiPadをサブディスプレイにする
問題②に対してはAirmac Time Capsuleの導入で2TBのHDDを共有ディスクにする
ことにより解決できました。
以上のように、デスクトップPCは大半の方には無用の長物となりかねないと私は思っています。