高度情報処理技術者を専門外&業務未経験者が目指した結果

2019年勉強開始、独学です。過去の家づくりや家電記事もおまけに残してあります。

A021【2016/07/20 住宅ローン説明会で火災保険と地震保険について聞いてきた】

 住宅ローン説明会において、おまけ的に火災保険と地震保険の紹介がありました。特に地震保険についてがっつり考察していきたいと思います。

 

目次

 

火災保険は義務

火災保険と地震保険というのは基本的に新居を構えたらセットでつけなければならないものだと思いますよね。

 

私の祖父の場合は火災保険に「家財保険」というものをつけていて、家財保険だけで毎年何と数万円を払っていました。

 

補償額は云千万でしたが、そもそもそんな高価な家財はありませんし、全額補償してくれるとも思えません。

私の母が家財保険の存在に気付いたときに急いで解約したようですが、今まで何十万円無駄にしたのか・・・祖父のことですから、勧められるがままに契約したのでしょう。

 

そんな経験もあり、私はこういった民間保険というものに少し懐疑的です。営業マンの言うことを鵜呑みにせず、自分なりに少しでも考えたいと思います。

 

 家を建てる場合、火災保険については義務です。

大きく分けて住宅火災保険住宅総合保険があり、住宅総合保険が上位互換となっていて水災や水漏れ、盗難に対応しています。

 

実際には細かく何を補償対象にして、何をしないかを選ぶことができます。一番安いのは火災・落雷・破裂・爆発のみを対象とした最低限のプランで、月々1000円以下というのも可能なようです。

私の建築予定地は比較的地盤が固く、川も山もなく大雨による洪水や氾濫、土砂崩れ等も起きません。隣接する家屋もありません。雪も降りません。こういった条件から、おそらく相当安い金額の保険で事足りると考えていますが、いよいよという段階になったら改めて検討したいと思います。

 

火災保険は保険金額を限度に、実際に被害にあった金額を補償するものであり、内容も保険会社によって様々なので想定がしにくいので、保険屋さんから具体的な提案を受けるまでは一旦置いておきましょう。

 

地震保険の費用と受け取れる金額

 さて今回の説明会で気になったことは、地震保険です。地震保険は火災保険とセットになった商品で、単独で加入することが出来ません。

つまり、火災保険と同じ保険会社になるということですが、地震保険はどこの保険会社でも同じサービスの為、地震保険も加味して保険会社を選ぶ必要はありません(その保険会社に地震保険がない場合もありますので、注意は必要です)。

 

地震保険は「国が行っている保険」なのです。各保険会社は窓口のようなものなので、フラット35と似ていますね。

地震保険にプラスする形で、独自の地震保険を展開している会社もあるようです。今回の地震保険の計算は、2017年1月からの改定後ベースで保険料や補償分類を考えています。

 

 地震保険の値段ですが、これも国で定められています。東京・神奈川等の首都圏と静岡・愛知等の東海大地震の予測地域は保険金額が1000万円につき年間3.6万円程度です。

建築家屋が耐震等級3(耐震性最高グレード)の場合は50%の割引が受けられますから半額になります。3年、5年といった長期契約だともう少しだけ安くなり、50%の割引も受けると考えて、実質的な支払額は保険金額1000万円につき年間1.7万円といったところでしょうか。

詳細は財務省のホームページで確認できます。

www.mof.go.jp

 

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲で設定できます。

火災保険を2000万円でかけたならば、地震保険は600~1000万円の範囲で加入できます。

地震保険の補償金額ですが、

全壊なら100%(時価が限度)

大半壊なら60%(時価の60%が限度)

小半壊なら30%(時価の30%が限度)

一部損なら5%(時価の5%が限度)

が支払われます。

 

非常に気になるのが「時価」という言葉ですね。調べてみると、保険には時価新価があるようです。

新価というのは「同等のものを新たに購入するのに必要な金額」

時価というのは「新価から経年劣化等による消耗分を差し引いた金額」

のことです。

 

地震保険は火災保険とは違い各社一律で想定しやすいので、例を挙げながら考えていきたいと思います。。

2000万円の家を建てたとして、2000万円の火災保険に加入したとします。

地震保険は上限である50%=1000万円で加入します。

木造住宅で、火災保険と地震保険を合わせて、年間12万円を支払っているとしましょう。

地震保険だけでは年間1.7万円です。

 

まず建てたその年に地震によって全壊した場合は、新価・時価ともに2000万円なので、地震保険の満額である1000万円が支払われます

実際、新築で全壊するような家が地震保険料が50%割引になる耐震等級3をクリアしているとは考えにくいです。大きな被害が出ても一部損~小半壊だとすれば、支払い金額は50万円もしくは300万円となります。

 

10年後に被災して全壊した場合はどうでしょうか?

時価について調べてみると、国土交通省の資料が見つかったので、これの12ページを参考にしました。

http://www.mlit.go.jp/common/001011873.pdf

 

時価 = 再調達原価 × 原価率

原価率 = 1-( (1-残価率) ×(経過年数 / 耐用年数) )

のようです。

再調達原価というのは新価と同等のものと考えておきましょう。

 

ここで新たに残価率という言葉が出てきました。

残価率については総務省統計局のホームページ内の「平成21年全国消費実態調査 家計の実物資産の価額評価方法」というページに「住居及び耐久消費財の単価、耐用年数及び残価率」というPDFがありました。

http://www.stat.go.jp/data/tanshin/pdf/zanka.pdf

これによると、10年後の残価率は、木造の場合0.353とあります。耐用年数は22年とありますので、そちらを採用して計算すると

時価 = 2000万円 × (1-( (1-0.353)×10/22)) = 1411.8万円

となりました。

10年後に地震で全壊した場合は、時価が地震保険でかけた1000万円よりも大きいので、満額の1000万円が支払われるのではないでしょうか。

 

同様に計算すると、

15年後では残価率が0.209なので、時価は921.4万円、

20年後では残価率が0.124なので、時価は407.3万円

です。築年数の経過と共に、一気に時価が下がってきました。

20年後に地震で全壊した場合は、時価が限度となるので407.3万円が支払われるでしょう。

築20年であれば、耐震等級3の家でも大半壊が有り得るかもしれません。その場合は60%である244万円程度が支払われます。

 

しかし30年経過した頃には、残価率0.040で、耐用年数を過ぎているので、時価は-618.2万円となり、負の遺産認定されてしまいました。

中古住宅の販売等ではこんなことがあるのかも知れませんが、地震保険においてはそんなことは有り得ないはずです。

築30年の木造家屋でも「地震保険料を払い続けている=家の価値がある」としているのに、いざ支払いの段階になったら「時価がマイナスなので支払いはありません」となれば問題です。

時価がマイナスとなった時点で地震保険が終了するというのであればまだしも。

 

完全な推測論になりますが、経過年数が耐用年数である22年を超えた時点で、経過年数/耐用年数を良心的に1で固定にしている可能性もあります。今回は希望的観測も含めて、22年時点での残価率から下がらないという仮定も加えて計算してみます。

 

この場合、築23年(建築後22年経過)以降は残価率0.101で一定ですから、時価は202万円で一定ということになりました。

地震保険的には、何年経っても2000万円の家に200万円の価値が残り続ける

という希望的観測です。

残価率表をそのまま当てはめてしまうと、木造の場合34年後で0.000になってしまうので、価値が0になります。多分それはないはずです。

 

1000万円の地震保険では、木造で築23年以上であっても地震で全壊してしまった場合に200万円程度補償される、ということになります。築23年以上経っても最大補償額の2割が支払われるということが本当にあるのでしょうか?

 

このへんは実際に聞いてみないとわかりませんね。

私一人で調べられるのはこのあたりが限界です。

 

保険の契約時に聞いてみます。

 

 保険金額1000万円の地震保険料は長期契約の場合は5年間で8.5万円ですから、20年間で34万円、30年間で51万円支払っていることになります。東海大地震が30年以内に起こる確率は80%とも90%とも言われています。それを考えると、

「30年後でも、住む家が完全に失われたとき200万円くらい補償されるなら・・・」

地震保険料を払う価値が十分あるように感じます。

 

しかし、ここで大前提を見直してみましょう。「全壊するのかどうか」という点です。

セキスイハイムの耐震性の売り文句が「全壊・半壊ゼロ」でした。つまり東日本大震災や阪神淡路大震災では、少なくともセキスイハイムで建てた人は誰も地震保険で一部損壊以上のお金をもらっていないのです。

一部損壊の場合は5%ですから、10年後に地震が起こった場合は50万円、20年後で20万円、22年後以降は年で10万円が最大支払額なのです。

こうなってくると、少なくとも鉄骨造の家では地震保険をかけるメリットが薄いように感じてしまいます(地震保険は地震による津波も対象なので、沿岸部に住んでいる方に限って言えば半壊、全壊の可能性も高く、地震保険加入は必須だと思います)。

 

全く別の切り口として、地震保険によって地震保険料控除という税金控除が受けられるので、メリットが薄く感じても節税できるし入っておくべきだという考え方もあります。

 

まだ木造か鉄骨造かも決まっていない私にとっては、今回では地震保険の必要性について結論付けることができませんでした。家のことが具体的になってきたら、もう一度考えましょう。

 

 地震保険についてちょっと調べるつもりが、長くなってしまいました。

今回の話は私なりに文献を漁ったつもりですが、間違っている可能性が十二分にありますので、誰かご意見をくださると嬉しいです。一人で考えているので正しい考察が出来ているか非常に不安です。

 

ちなみに、今回の調査をしているうちに固定資産税における家屋評価に関わる「経年減点補正率」と「再建築費評点数」の情報も出てきて、残価率と混同して苦戦しました。

 

法務省法務局、総務省統計局、国土交通省と様々なホームページに情報が散らばっていてわかりにくいですね。

それでもインターネットがなかった時代と違い、私のような完全な素人でも(合っているか間違っているかは別として)このレベルの想像は出来るようになりました。便利な時代になったものです。

 

さて次回は難しい話から離れて、百年住宅のレビューを書きたいと思います。